令和7年8月 今月のことば
今子育ては、学ぶ時代。
私は、一般社団法人「青少年養育支援センター陽氣会」のCPA※講演講師
として活動している。
※Communicative Parenting Approach
(コミュニカティブ・ペアレンティング・アプローチ)
CPA「A」は、「アプローチ」のA。アプローチの意味は、
理想の子育てに近づこうとする親の姿勢の事を言う。
「イライラしない子育て講座」という名称で、毎年、主に里親さんたちに向けて
講師として勤めている。また、今年度も須坂市の出前講座の講師として登録中である。
「陽氣会」は、平成25年に設立され
「すべての親に子育ての喜びをすべての子どもに生かしの道を」
をミッションとして、子ども・子育て支援を行っている団体だ。
活動内容は、次の通り。
・「子ども虐待“再発防止”事業」
・「子ども虐待“発生防止”事業」
・「産前“子育て教育”事業」
・「“支援者教育”事業」 ※HP参照の事。
この講座では、しつけは、コミュニケーションによるトレーニングと位置づけている。
年齢や、お困り感に合わせて選ぶことが出来るスキル「コツ」を学ぶことが出来る。
その中で、「子どものほめ方・認め方」~子どもを上手くほめるコツ~というスキルがある。短くまとめて紹介する。
図①を見てほしい。子どもに対して『ほめる』と『叱る』の割合は、どっちが良いだろうか?では、あなたの場合はどうですか?と問うと、叱る割合が多くなってしまっていると感じている親御さんがほとんだ。
次に図②を見て下さい。どちらが気になりますか?と尋ねると、
ほとんどの人が左側の方が気になると答える。
では、どこが気になりますか?の問いには、円の切れているところ、と答えが返ってくる。
これは、誰もがそこに注目してしまう。問題行動に目が行くのと同じで、
そうなるとついつい子どもを叱ることが多くなる。本当は、
ほめて子育てしたいと思っているのに、どうしても問題行動に着目してしまう。
では、どうしたらほめることが出来るのか。
また、どうしたらほめる回数を増やすことが出来るのか?
それは、問題行動ではない普通の適応行動に注目する事。
子どもは朝から晩まで問題行動ばかりしている訳ではないはずだ。
先ほどの図②の輪のように、切れている部分より、つながっている部分の方が多いはず。
例えば、朝起こさなくても起きてきた。言われる前に歯を磨いた。
同様に、ご飯を食べた。服を着替えた。宿題をした、など。
日常生活で当たり前のような行動に、今度は着目していく。そして、
その当たり前の行動をほめれば、ほめる回数は、自ずと増える。
親子間のコミュニケーションにもつながっていく。
では、どうしたら当たり前の行動をほめられるのか?
そんな時に使えるスキル・コツに「オットセイ理論」というものがある。
「オットセイ理論」とは、
●親がついつい欠点に着目して文句を言ってしまう事が減少する。
●子どもの適応行動(当たり前の行動)をほめやすくなる。
●ほめる割合が増え、親の気分も陽気になる。 である。
やり方は、いたって簡単。例えば、子どもが朝起きてきたら「おおっ!おはよう」
歯を磨いていたら「おおっ!歯を磨いるね。」以下同様に「おおっ!ご飯食べたね。」
「おおっ!服着替えたね。」「おおっ!宿題やってるね。」この様に、
普通の行動、当たり前の行動に対して、「おおっ!」を付けて言うと、
子どもはほめられた気分になる。また、声を掛けた親も気分も良くなる。
更に、コミュニケーションが弾むきっかけとなる。
その結果、自ずと子どもをほめる回数が増える。
もちろん叱ることも時には必要だが、ほめる回数が増える。
また、完璧に出来たらほめるのではなく、目標の25%でほめる。
これを「スモールステップでほめる」という。例えば、
先程の朝起きてから学校へ登校するまでの一連流れを、その都度ほめる。
とか、子どもが、服を着替えるのに、
シャツ着た/靴下履いた/ズボンをはいた/ボタン締めたなど、
完全に服を着替えてからではなく、行動をその都度ほめていく。これも大事なことだ。
ほめてばっかりいると甘やかすことになるのでは?なんて思う人もいるかも知れない。
しかしながら、ほめることによって、自己肯定感が高くなる。
冒頭に、しつけをコミュニケーションによるトレーニングと位置づけている。
子どもが親に対して話しづらいと感じているようでは、親子の間もギクシャクしてしまう。
小さなことでも出来たことをほめていく。
きっと子どもの気になる行動も、減少していくに違いない。
親やまわりの大人が、子どもの行動に対して興味をもったりし、
ほめたり認めたりすることは次世代を担う子どもたちを
育てる人材育成に大きくつながっていく。
子どもの成長を見守ることも、教祖が私たち人間の成人の歩みを
楽しみされていることを思えば、今の時代という一区間を任された私たちが
責任をもって次の区間へとつなぐことが大事な事である。
大切な使命であると改めて認識しなければならないと思う。
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